前回、親の介護がどのように始まる可能性があるかについて書きました。
今回は介護がはじまる前に考えておいたほうが良いことについて考えてみます。
親の介護がはじまる前に、下記の5つを少しずつ知っていくと後々慌てずにすむようになるでしょう。
- 親の持病、飲んでいる薬について説明できるか
- 入院するとしたらどこの病院と予想されるか かかりつけの病院はあるか
- 重要書類の保管場所はどこか
- 介護が必要になったときの協力者はいるか
- 介護について親の希望はあるのか
こちらの5つについて解説します。
5つのことをあげましたが、注意しなくてはならないことは、
「すべて一気に完璧に把握する必要はない」ということです。
親の今の状況を全然知らない、という状態から一歩でも進めればそれでOKです。
(急に入院等が必要になった場合はあきらめて一気にやりましょう。)
以前、介護がはじまる2つのパターンを説明しましたが、
共通点として、あらかじめ「親の健康状態、交友関係を知っておく」「親の意向を話しておく」ことが大切になります。
一つ一つ見ていきますね。
親の持病、飲んでいる薬について説明できるか
「久しぶりに家に帰ってみたら、親が飲み忘れた薬がたくさんあった。」
そのようにご家族が薬局に残みのこした薬を持ってこられることがあります。
それはもうたくさんあります。
今あなたの親は毎日飲んでいる薬はあるでしょうか?
離れて暮らしていると、親の状況を知る機会はあまり多くありません。
たまに電話で話す
数か月に一度食事をする
年に一回の帰省
もっと頻度が少ないこともあるかもしれません。
丸一日一緒にいたら毎日飲んでいる薬があることはわかるかもしれません。
しかし、短時間だけ連絡を取る状況だと、現在治療している病気があるのか把握することは難しくなります。
健康状態について、親と話すきっかけがないことも多いです。
きっかけの一つとして提案できるのは、
あなた自身が健康診断や人間ドックを受けるときです。
問診表には家族歴を書く欄があるので、
その機会に親に今治療している病気はあるのか聞いてみるのはどうでしょうか。
入院するとしたらどこの病院と予想されるか かかりつけの病院・薬局はあるか
持病があり定期的に通院しているのであれば
かかりつけの病院やよく行く薬局があるはずです。
定期的に飲んでいる薬はなくても、
たまに風邪をひいたとき、けがをしたときに 親がいくであろう病院はどこでしょうか?
家の近くにあるあそこかな。
知り合いの医療関係者のいるあの病院かな。
思いつくところはあるでしょうか。
かかりつけの病院や薬局には、その人のカルテがあります。
急に介護が必要になったときにかかりつけの存在は子供である私たちを支えてくれるはずです。
重要書類の保管場所はどこか
急に介護がはじまる場合、親は動けなく、ご家族が入院の準備などをすることが多くあります。
「手続きをする際に保険証どこ?!」とあせる自分が想像できるのではないでしょうか。
そうならないように以下のものについて、それとなくどこに入れているの?と聞いておくとよいでしょう。
- 健康保険証、介護保険被保険者証
- 病院の診察券
- お薬手帳
- 印鑑
- マイナンバーカード、免許証など本人確認書類
病院関係以外にも預貯金通帳、年金手帳など必要になる場面が出てくるでしょう。
介護が必要になったときの協力者はいるか
親と離れて暮らす私たちにとって、親の介護を自分だけでするということはとても負担に感じると思います。
そして、親の介護は兄妹や親族だけでしていかなければならない。と、考えている人も多いかと思います。
実際は、安否確認など広い意味も含めての協力者は親族以外にも選択肢はたくさんあります。
・親族、知人
・近所の友人、趣味の友人
<安否確認してもらえるサービスとして>
・地域の民生委員、福祉関係者
・宅配の食事など毎日使っているサービス
親の交友関係や、趣味について話す機会がもてれば、
きっと、周りに協力してくれる人が想像できるようになるはずです。
介護について親の希望はあるのか
介護について話題を振ることは少しハードルが高いですよね。
しかし、介護サービスや自分の希望について子供がわかっていることは、
親にとって大変心強いものです。
どういう老後を送りたいか
介護するとしたら家で介護してもらいたいか
施設に入ることを希望しているか
いざというときに、家族みんなが納得できる介護ができるように少しずつ情報収集したいところです。
以上が、介護がはじまる前に考えておいたほうがよいことになります。
はじめに「すべて一気に完璧に把握する必要はない」と言いました。
この5つをすべていっぺんに把握しようとしたらどうなるでしょう。
警察の取り調べのような、尋問になってしまうでしょう。
私自身、お薬のことについては親から相談を受けるため把握しています。
しかし、それ以外はぼんやりとしかわかっていません・・・。
自分の健康診断のときに親の健康状態を、
帰省したときににものの保管場所を、
お食事したときに今の交友関係を、
このように少しずつ話す機会がもてれば それでよいのではないでしょうか。