子育てと介護って似ている:「育自」と「皆護」

赤ちゃんを抱っこする高齢夫婦
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飛行機の距離に住む親のことについて、
介護にどのような種類があるのかを調べています。

調べる中で、「介護」は「子育て」と似ているなと感じる部分がでてきました。
介護と育児の似ている点、違う点について考えていきます。

子育て中だけど親の介護が視野に入ってきた
介護と子育ては両立できるのかな

と、不安に思っている方もいるかもしれません。
でも、あなたの子育ての経験が親の介護に活かせるかもしれません。

目次

介護と育児の似ている点

はじめは何をしたらよいか全然わからない

子どもができる場合、計画的に妊娠する方、突発的に妊娠がわかる方がいますね。
ある程度コントロールできることもあるけれど、計画通りいかないことも多い。
この点も介護と通じるところがあります。

妊娠した場合も必要な道具をそろえたり、子育ての準備を始めていきます。
この時驚くことが、まず用語がわからないのです。

赤ちゃんの服をそろえよう。
えっ?肌着って1種類じゃないの?
ロンパースとコンビ肌着、短肌着は何が違う??
保育園と幼稚園は同じでしょう。
幼稚園の校風がピンキリ、価格もピンキリ、こども園ってなに?
どこがうちには合っているの?課金もできるって、何を選ぼう。

同じように介護でもはじめは用語で戸惑うことが多いでしょう。

要支援と要介護はどっちが重い?
デイサービスとショートステイは同じでしょう。
介護施設のサービスがピンキリ、価格もピンキリ、特養というのも聞く。どこがうちには合っているの?課金もできるって、何を選ぼう。

とっても似ています。

そして、保育園の申請を自らしなくてはいけないように、
介護保険の申請も自分(または家族)がしなくてはいけないのです。

用具が特殊

育児ではそのときしか使わないものがたくさんあります。
ベビーカー、バウンサー、ベビーベッド
同じように介護でも用具が特殊なことが多いです。
杖、介護ベッド、ポータブルトイレ

スペックはどうか、価格はどうか、そもそもうちに必要なのか。
こちらは価格は高いがアフターフォローが良いし。。。
プロコンだけで疲弊してしまうこともあります。

単純に実働が大変

産後は赤ちゃんのお世話で夜も眠れないと聞きますよね。
新生児は頻回のミルクが必要なので夜のお世話の必要がある。
赤ちゃんによってはなかなか夜寝てくれず夜通し抱っこするということもあります。

介護も状態によっては夜中のトイレ介助や移動の補助など、
保護者、介護者の身体的負担が大きいです。

誰にも相談できず追い詰められてしまうと抑うつ症状が出ることもあります。
子育てでは育児ノイローゼ、
介護では介護うつといわれています。

自分の力ではどうしようもないことがある

勉強や仕事では自分が適切な努力をすることで、
試験に合格したり、営業成績を上げるなど結果に結びつくことが多いです。
しかし、子育てや介護は適切に努力しても、思い通りいくことは少ないかもしれません。
親や子供の意思、病気などがからんでくると、努力して解決する、という状況ではないです。

「いのち」という重い責任がある

育児は特に顕著ですよね。
新生児のか弱さは、一度触れたことがある人であればはっきり理解できるはずです。
自分の腕に一つの「いのち」がかかっている。
毎晩寝ている赤ちゃんが息をしているのか確認する。
特に初めの一年は親も子供も生き延びるために必死で試行錯誤するでしょう。

介護は新生児育児と比べると切迫感は少ないかもしれません。
ただ、いきなり主治医から意識不明の親の

「延命治療は希望されますか?」

と、聞かれてすぐ答えられるでしょうか?
事前に話し合ったり、調べておかないと困惑してしまう人がほとんどです。
親のいのちを自分だけが背負うわけではないけれど、
自分の行動で「いのち」のあり方が変わってしまうかもしれない不安。

答えのない、「いのち」について、
しかも自分以外の人の「いのち」について、決断を求められる。

育児と介護の大切な似ている点かと思います。

介護と育児の違う点

では、育児と介護の違うところはどこでしょうか?

介護はじまりも終わりも不明なところ

育児は妊娠がわかったらその後はある程度は計画が立てられます。
もちろん発達は個人差がありイレギュラーなことはありますが、
だいたい生後半年前後には離乳食開始して、
一歳半には歩き始めて、
6歳には小学校に行きはじめる。といったように大まかな見通しが立ちます。

一方、介護はそもそもいつ始まるか、予測は不可能です。
「75歳になったから要支援申請だな。」
という性質のものではありません。
個人差も赤ちゃんより多く、
それまでの生活習慣、持病により元気具合はぜんぜん違います。

終わりについても子育てには、
子供が就職して自分で稼ぐようになったから、子育てもひと段落だね。
ということがありますが、
介護はいつ終わるか予測がつかないことも多いです。

徐々に重くなることが多い

育児は成長につれどんどん楽になることが多いです。
もちろんどの時期もそれぞれ大変さはあるけれど、
赤ちゃんが自分で立って動いてくれる。
お話ができて、どうしたいか伝えてくれる。
新生児のお世話で気を使うことにくらべたら、楽になっていくと言えるでしょう。

一方、介護はどんどん重くなる、シビアになることが多いです。
身体能力が落ちてきて、新たなサービスを導入しなくてはならない、
終末期はどのように過ごしていくべきかなど、決断が重くなっていくでしょう。

周囲に相談しにくい

子育てについては世間話の一環として
友人や児童館など経験のある人に相談することも多いのではないでしょうか

自分から相談しなくても、
始まりが明確なため、行政から往診や病院での1か月検診など
定期的に相談する機会があります。

一方で介護となると
よっぽど深刻になり病院から連絡がきた。というより前に誰かに相談したり、
行政に相談に行くということはまだメジャーではないでしょう。
特に初めの一歩を踏み出すまでは勇気のいることなのではないでしょうか。

以上、育児と介護の似ているところ、違うところを挙げてみました。
子供を育てていて、さらに親のことまでしなくてはいけないと、負担に思う人も多いと思います。
ここまで介護のことについて調べてきて、
育児の経験が活かせるな、と思うこともありました。

育児の経験で介護に活かせること 

役所慣れしている 

子育てをしていると、出産関連や保育園関係でしょっちゅう役所に出向いたり書類を提出しますよね。
大人だけの生活だと、結婚や引越しの時くらいしか役所に行くことはないのではないでしょうか。
役所の中を歩いていると、子供関係の部署に行きつくまでに
介護福祉関連の前を通りかかることがあります。

もし何かあればここに来てみたらいいのかな、
こんなことも相談できるんだな、
と、わかっていることは安心でしょう。

申請慣れしている

出産経験があれば医療費控除の申請経験もあるのではないでしょうか。
確定申告のときに必要となる医療費控除は、
「さあやってください」と、言われてもハードルが高いものです。
親の介護で同じように申請する場面が出てきても、
一度したことがあるというのは大きな経験になります。

また、保育園、学校、学童などそれぞれに
ちょっとしか違わない、同じような書類を出さなくてはならないという経験がありますよね。
この情報は役所ならわかっているはず、ということも書類にして提出しなくてはいけないのです。

介護も同じです。介護保険を使用する場合は書類を提出するのですが、
それは親自身や家族で申請する必要があるのです。

関係各所に相談しやすい

大人になってからは会社の人としか話をしないという人も多いかと思います。
子育てをしていると保育園、学校など様々な人と関わります。

もちろん知り合い程度の人に介護の相談をするのはハードルが高いです。
しかし、行政関係の人に子育ての相談をする際に介護についても相談するなど、
関わっている人が多いことは孤立介護を防ぐことになるのではないでしょうか。

また、子供を連れて児童館や図書館に行くこともはじめは緊張したかもしれません。
児童館と同じように考えると、
介護の相談窓口的な存在の地域包括支援センターへいくことへの、
ハードルも低く感じられるのではないでしょうか。

かくれ介護で疲弊しないために

ここまで介護と育児について比較してきました。
特に40代50代は育児と介護、さらに仕事の責任が重くなるという
厳しい状態が重なる世代でもあります。

自分自身が潰れないように、親族、友人、行政、医療、あらゆるところを頼って
1人で思い悩まないでほしい。

このことが、私が記事を書いている理由の一つです。

特に周囲に相談できなくてかくれ介護で疲弊してしまう人って多い。
育児には児童館があるように、
介護には地域包括支援センターがあります。
本格的な介護が必要になる前に、知識を持っている人に一度相談してみましょう。
自戒の意味も込めて。

育児は子どもを育てるだけではなく、親自身を育てる「育自」と言われることがあります。

介護についても、親だけでなく、自分のことも大切にして、
みんなを護る「皆護」の精神ですすめていければよいなと思っています。

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この記事を書いた人

はじめまして。

薬剤師ぷふまると申します。
薬局薬剤師として働いています。


学業、仕事で親元を離れて早十数年。
ここのところ親の衰えを如実に実感するようになりました。


本ブログでは、
介護について仕事での経験や調べた知識について発信していきます。
介護の基礎知識や育児との両立についてなど、
親の介護がまだはじまっていない段階で知っておいた方が良いことをまとめています。

私と同じように、親の介護でもやもやや不安をかかえるプレ介護世代のとっかかりとなって頂ければ幸いです。

よろしくお願いします。

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