わたしは、現状自分が親の介護のために離職することは考えておらず、遠距離介護できないかについて考えています。
そこで、遠距離介護を想定してメリット・デメリットについて考えてみました。
遠距離介護とは
遠距離介護とは、病気などによってサポートが必要になった親に対し、親と離れて暮らす子が通って介護することです。
遠距離介護をしている人の割合
厚生労働省が行っている2022年の国民生活基礎調査から、遠距離介護の現状を見てみましょう。
2022年主な介護者の状況は、主な介護者で「別居の家族等」の割合は11.8%となっています。
「事業者」は15.7%となっており、施設などに入った場合を合わせると25%以上が同居ではなく介護が行われていることになります。
日本の家族構成を考えると今後増えていくでしょう。
わたしは今のところ自身の生活を大きく変えず、
遠距離介護でできるところまでできたらいいなと考えています。
親の状況に応じて実家に帰省するUターンなどの選択肢もありますが、
仕事を辞める必要があったりと、自分自身の人生も左右しかねないので簡単に決断できるものではありません。
遠距離介護のメリット
介護者の精神的、肉体的ストレスの軽減
やっぱりメリットとして一番に考えてしまうのはこれ。
親と同居していない分介護と切り離される時間ができ、物理的な距離を取ることができ、
常にそばにいて介護にかかわるよりもストレスが少なくて済むことです。
親のそばで常に介護をしている方のなかには、介護中にうつになってしまう方もいらっしゃいます。
親と同居しているといつのまにか毎日介護をすることが当たり前になり、
さらには親との意見の食い違い、お金と労力、多大な時間を取られることが
日々のストレスとなって積み重なってしまいがちです。
その点、遠距離介護なら親と距離をおけるので、介護のことを客観的にみつめやすくなり、
介護中心の生活に陥らずに済むのは遠距離介護の大きなメリットだと言えます。
最近は、育児と介護が同時進行する「ダブルケア」になる場合も増えており、
同居や近居となると、介護するご家族の身体的・精神的負担が大きくなってしまいます。
介護離職をさけることができる
遠距離介護であれば、介護者が現在住んでいる地域を離れる必要がないので、介護に専念するために勤め先を退職する「介護離職」を回避できます。
親の介護に直面する人の多くは私も含めて40代以上のことが多く、
年齢的にいったん仕事を辞めると再就職は難しいことが多いため、なるべく離職せず介護をスタートすることは、
遠距離介護はおおきなメリットといえるでしょう。
親や自分たちの転居の必要がない
介護の種類では「親を自宅や自宅近くへ呼び寄せる」いわゆる「呼び寄せ高齢者」も選択肢の一つとしてあげられます。
しかし、引越しが高齢者にとって負担になるのも事実です。
高齢親が新しい土地や人間関係などになじめずコミュニティから孤立してしまうリスクもあるので、
自宅を離れたくないという親の気持ちもわかります。
自宅で老後を過ごしたい高齢者にとっては、遠距離介護で転居する必要がないことは大きなメリットです。
介護保険サービスを利用しやすい
例えば、親の病気が進行し、一人住まいでの生活が立ちいかず要介護状態になった場合、
特養など介護施設への入居を検討する必要が出てくるかもしれません。
急きょ介護が必要になった場合、「現在、近くで介護の世話をする人がいない」というケースに対しては、
生活状況を考慮して入居の優先順位が高めになる傾向があります。
介護施設に入居できず待機している方が多いなか、少しでも早く入居できるというのは大きなメリットです。
遠距離介護のデメリット
緊急時の対応が難しい
同居しているのとは異なり、常に親の心身状態をチェックできる状況ではないので、
急に容体が変化してもすぐに対応することができません。
親とこまめに連絡をとることに加え、緊急時に対応できる体制づくりが必要になります。
まずは地域包括支援センターやケアマネージャーと連絡を取りあり安否確認をできるようなサービスを利用することが大切になります。
また、親戚関係だけでなく近くにすむ人ともコミュニケーションをとって、いざという時に協力してもらえる関係を作っておくことができると安心ですね。
緊急時の対応が頻繁になったとき仕事を休むことが難しい
遠距離介護をしていると、仕事と介護の両立が難しくなる場合も出てきます。
入院対応や施設入居では準備に時間がかかることも多く、
休暇が取れず離職を考えるケースもあるでしょう。
すぐに仕事を辞めるのではなく、親や祖父母の介護などを理由に取得できる「介護休業制度」がないか確認しましょう。
育児・介護休業法によって定められている権利なので、対象条件を満たしていれば、すべての労働者が取得できます。
通常は会社の就業規則に記載しているので、事前にチェックしておきましょう。
あらかじめ勤務先に家庭の介護状況を共有しておくと、介護休暇についてもスムーズに相談できます。
なお、介護休暇をとる場合は、会社に迷惑がかからないよう早めに相談することをおすすめします。
遠距離のため日々の様子を把握しづらい
薬の飲み残しは多くが同居のご家族が見つけてこまめに調節してくれることがあります。
家の中の生活で使いづらいところも一緒に住んでいると見つけやすいでしょう。
遠距離介護だとそのような把握もしづらくなります。
遠距離で会わないうちに物忘れや認知症の症状が悪化しているということが起こりがちになります。
現在は多様な見守りサービスがでているので、行政のサポートや見守りサポートを使って乗り切る場合が多いようです。
費用負担が大きくなる可能性大
遠距離介護をする場合、やはり「お金がかかる」というのは大きな難点です。
離れて暮らす距離が遠い場合、移動に飛行機や新幹線を使わなければならず、往復回数が増えると家計を大きく圧迫します。病気などにより入院することになった場合は、帰省の頻度を上げざるを得なくなるでしょう。
また、交通費だけでなく、普段からかける電話などの通信費用も高額になる傾向にあります。
航空会社や鉄道会社が実施しているさまざまな割引制度を活用するなど、できるだけ交通費を抑えるのも一手ですね。
見守りや安否確認などで普段から近所の方などにお世話になっているなら、
そうした方々へのお土産を買っていく必要もあります。
- 介護者の精神的、肉体的ストレスの軽減
- 介護離職をさけることができる
- 親や自分たちの転居の必要がない
- 介護保険サービスを利用しやすい
- 緊急時の対応が難しい
- 緊急時の対応が頻繁になったとき仕事を休むことが難しい
- 遠距離のため日々の様子を把握しづらい
- 費用負担が大きくなる可能性大
以上、遠距離介護のメリットとデメリットについてまとめてみました。
自分の仕事を辞めたくない、子どもの環境を変えたくないと思っている場合、
いつかくる親の介護に備えて、どんなサービスがあるか常に情報収集する必要がありますね。
薬の専門家として、皆さんの情報収集の助けとなる情報を提供していきたいと思います。
次回は、デメリットを解消するにはどうしたらいいのか考えてみたいと思います。